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「特許明細書と論文の比較研究」日本知的財産学会

発表題目 特許明細書と論文の比較研究
            平成16年7月10日(土)日本知的財産学会
                         特許事務所 富士山会 
                       代表者 弁理士 佐藤富徳

[抄録] 許明細書の書き方、論文の書き方については、それぞれ単独では書いたもの多く見受けられる。
  しかし、今までに特許明細書の書き方、論文の書き方を統一的に論じたものはない。
  この平成16年4月から大学も法人化され、特許等の知的財産権の価値が重視する傾向にあるように思われる。
  このような中にあって、特許明細書と論文について、特許面と著作権面から比較を行い、両者の相違点・共通点を明確にして、科学立国と知財立国を図っていく観点から、これからの特許明細書と論文のあり方を論ずることとする。

表1 特許明細書と論文の比較
作成主体
発明者
代理人
発表者
客体
発明
アイディア(発見)
作成方法
様式主義
書いてあるか否かが問題、
重複記載は重要だから強調した
フリースタイル
書いてあるか否かと全体の統一性
作成期間
スピーディー
比較的ゆっくり
時期の特定
出願時は第三者対抗要件
創作時は自分で実証
ただし、発表時は
審査
審査官、審判官、裁判官
審査者、差読者、無審査
審査基準
進歩性等
有無のみ
オリジナリティ
有無のみ
審査期間
長い
短い
利益
経済的利益
名誉的利益
名誉的利益
審査結果
特許取消しあり
学位取消しはなし


表1 著作権と特許権の比較
保護対象
特許法
著作権法
所管官庁
特許庁
文化庁
目的
産業の発達に寄与・貢献することを目的とする。(特1条)
文化の発展向上に資することを目的とする。(著1条)
定義
自然法則を利用した技術的思想の創作(特2条1項)
思想又は感情を創作的に表現したもの(著2条1項2号)
権利の発生
出願し、審査を経た後で設定登録時(特66条)
登録主義
著作物の創作時に自動的に発生(著51条1項)
無方式主義
存続期間
特許出願の日から20年(特67条1項)
著作者の死後50年間
保護される権益
絶対的独占排他権(特68条)
相対的独占排他権
複製権(21)、上演権及び演奏権(22条)、公衆送信権等(23条)、口述権(24条)、展示権(25条)、上映権及び頒布権(26条)、貸与権(26条の2)、翻訳権、翻案権等(27条)、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)

財産権のみで、人格権の保護規定はない.
著作者人格権
公表権(18条)、氏名表示権(19条)、同一性保持権(20条)


表1 特許明細書と論文の作成方法
作成者
発明者
代理人
発表者

時期
発明完成の都度
できるだけ速やか
学位論文は、特定時期
投稿論文は、特定時期
対象
クレーム制度
クレーム以外は無視
フリースタイル
記載方法
明確で
分かりやすく
常に権利を意識した記載
明確で
分かりやすく

情報性
公開公報で均一情報
学位論文は、公開性が弱い
投稿論文は、不均一情報
情報のコピー
自由
制限あり
記載が悪かった場合
取り扱いが法定されている。
補正等



大学で、
発明が軽視されてきた理由

大学で発明についての大学法の規定はなかった。→発明をしようがしまいが同じ取り扱い。
大学で論文の取り扱いについては、学校法の規定があり、学位論文の審査が行われてきた。


企業で、
発明が軽視されてきた理由

職務発明に関しての理由と同じく、一人だけの貢献ではなく、会社の設備、営業力の方が大きい。
→キャッチアップ時代は、オリジナルティーは然程問題とはならなかった。
研究者も論文発表して学位を取り地位を確保したいという意向があった。


バブル崩壊後の失われた10年を経て、
知的財産政策に活路を見出す政策



表1 特許明細書と論文の審査方法

特許明細書
論文
審査をする者
審査官、審判官、裁判官
教授
査読者
審査対象
審査請求のあった出願
全数
審査期間
時間がかかる
ただし、早期審査
早い
先行文献調査
FTターム検索で、システム的に整備されている。
JICST検索等がある。

肯定的審査結果
特許付与
学位付与
投稿原稿は掲載
不服申立て
特許無効
第三者が不利益
なし
理由は
真の評価は
実際に社会に貢献して、社会から還元してもらう報酬額による。
ノーベル賞
学位論文でノーベル賞はない。



特許による保護は、論文の保護に通じ、創作物の発明(発見を含む。)の保護をも自動的に満足することとなる。これに伴い、各学会誌での会誌委員会の投稿原稿の審査が外から見れば不透明であるが、特許庁の審査を受けるので明確になるのではないだろうか?筑波大学名誉教授の白川英樹が、「伝導性ポリマーの発見と開発」の業績により、2000年ノーベル化学賞を受賞した。また、TIが生んだエンジニア/発明家のジャック・キルビー、が集積回路の発明の業績により、2000年ノーベル物理学賞を授賞した。工学系の研究開発者もノーベル賞を受賞する可能性が出てきたことになった。実際に社会に役立った発明等を評価することになって、言わば業績評価のターニングポイントになった点で注目されよう。発明がノーベル賞受賞理由になるのであるならば、特許が論文と同様に評価対象となり得る。ノーベル賞が発明によって評価されるのであれば、博士号取得の評価も変わってしかるべきではないだろうか?例えば、博士号取得のために一件位は、特許出願しておくとかが必須になっている位が望ましいのではないだろうか?

表1ベンチャー企業のビジネスプランへの貢献

特許明細書
論文
参加者
参加者が特許を持っているかは問わず
参加者の論文→人物をみる
技術レベルのアピール
技術レベルに併せて
新規事業の評価に貢献する
技術レベルを表すと思われている。
排他性
非常に大きな貢献
→利益を独り占め
なし
事業における排他性はない
実施権
自らが実施しない分野
→実施権→思わぬ資金調達
自らの実施分野→クロスライセンスの材料
なし
在るべき姿
広くて、強い特許
なし
その他
パテントフォーリオ
なし


良い特許明細書の意義(その1)
(1)事業化のために役立つ武器
   経済効果の高い特許が、質の高い特許
  @排他的効力
事業を独占→他人を排除して利益独占→3分法で権利価値の顕在化
  A実施の確保
・クロスライセンスの材料……排他的効力とも関連 →相打ちねらい→後述
・実施料収入等→実施しなくても権利活用
Bその他

良い特許明細書の意義(その2)
「事業化のために役立つためのよい明細書」とは?
(1)羨ましがられる/嫌がられる権利→敵から葱鴨といわれては終わり
@セールスポイント/技術の特微を一致
・事業化の根本はセールス→明細書も合わせる。→相乗効果
カタログに書く内容を明細書に落とす。
当たり前のことだが商品化前に出願すること。→出願せず商品化は最低。
A広い権利→面としての権利
・SIMPLE IS BEST(多記載狭範囲原則)→セールスポイントを手短に
・水平展開、垂直展開
・その他
プロダクトバイプロセス→狭くて弱い権利?→極力オーソドックスに表現
ファンクショナルクレーム→狭くて弱い権利?→極力オーソドックスに表現
B強い権利→訴訟の際に強い権利
・立証し易い内容のクレーム
→商品を看えた通りに表現する。
・訴訟の対象物を高金額化
請求項上から下に行くに従って高金額化→特許法改正を視界に入れる。
素材&部品、部品&完成品、
メーカースタンス&ユーザースタンス
○ Cスキのない権利→広くて強い権利でもスキがあっては駄目
・一番よいのは、出願明細書を見て後発メーカーはあきらめてくれる。
∴戦わずして勝つ

新規性喪失による論文発表の保護について

  特許法に論文に関係する唯一とも言える規定が有る。論文発表に関しての新規性喪失の例外規定(特許法30条)である。研究論文のオリジナルティー尊重のため、論文発表から6ヶ月以内であれば、例え、発表した発明であっても、新規性を喪失しなかったと取り扱うものである。
  研究開発の成果は、論文の対象ともなるし、特許の対象にもなるという二面性を有する。しかし、論文と特許とは相反する点もある。企業としては、基本的に、特許の方を重視するので、論文発表が遅れるというデメリットは大いにあろう。研究開発者にとっては、博士号を取ることは、研究開発者としての一種のステータスを取るようなもので、社会的にも一流の研究開発者として認知されたと言えよう。このためには、研究開発成果を論文として発表する必要があり、優秀な研究開発者として認められるためには当たり前のことである。しかし、発表は特許制度とは相容れない面も有る。公開代償として特許を附与し技術の累積的進歩を図るのが特許制度である (特許法第1条)が、著作権制度には、オリジナルティーは尊重されるが、公表代償という考え方はない。
特許権者、すなわち企業の立場に立てば技術内容を公表しないでも特許を取得したい位であり、事業を成功させるためには技術内容の公表は極力避けることになろう。
以上

弁理士・行政書士 佐藤富徳

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   電話  0120−149−331
   ファックス  0120−149−332
   メールアドレス  fuji3kai@sweet.ocn.ne.jp
   HPアドレス  知的財産権の年金専用サイト

 

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